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神の母聖マリア(2019年1月1日 <ルカ 2・16-21>)

〔そのとき、羊飼いたちは、〕急いで行って、マリアとヨセフ、また飼い葉桶に寝かせてある乳飲み子を探し当てた。その光景を見て、羊飼いたちは、この幼子について天使が話してくれたことを人々に知らせた。聞いた者は皆、羊飼いたちの話を不思議に思った。しかし、マリアはこれらの出来事をすべて心に納めて、思い巡らしていた。羊飼いたちは、見聞きしたことがすべて天使の話したとおりだったので、神をあがめ、賛美しながら帰って行った。八日たって割礼の日を迎えたとき、幼子はイエスと名付けられた。これは、胎内に宿る前に天使から示された名である。

1986年より、教皇パウロ6世が新年1月1日は「世界平和の日」と定めた以来、私たち、カトリック教会は、毎年1月1日に、戦争や分裂、憎しみや飢餓などのない平和な世界が来るようにと祈り、伝統を守っています。そして、来る2019年には第52回「世界平和の日」のために、教皇フランシスコは「平和に奉仕する良い政治」というテーマを選ばれました。
 このテーマについて、バチカン広報局は次のようなコメントを発表されました。
 「政治的責任は、すべての市民に属するものです。特に、守り、統治する役割を負った人々の責任はなおさらです。その使命は、権利を保護し、社会の成員・世代・文化間の対話を促進することにあります。相互の信頼なしに、平和はありえません。信頼は、約束を尊重する上での第一の条件です。政治活動は、カリタス(愛)の最も高度な表現の一つです。それは人々の命、地球、若者や子どもたちの未来を気にかけ、それを実現させることを熱心に目指すものです。
 聖ヨハネ23世の回勅「地上に平和を」(1963年)に記されるように、人間がその権利を守られる時、その人の中に他人の権利を尊重する義務感が芽生えます。人間の義務と権利は、自分が神と他の人々と共に、一つの共同体に帰属しているという意識を育てます。それゆえに、わたしたちは、誰もがその尊厳と権利を尊重される、未来の良き知らせとして、平和を告げ、もたらすよう招かれています。」(カトリック中央協議会より)
 まさにその通りです。私たち、キリスト者は全ての人のうちに現存するキリストの姿を尊重し、同じ人類として全ての人の権利を保護する責任を持っていることを理解し、しかもそこにとどまること、愛の実践という福音の言葉に促されて、日々日常生活の中で怠ることがなく世界の平和に努めています。その模範としては聖母マリアであり、「お言葉どおり、この身に成りますように」(ルカ1:38)と、ガブリエルから御子の受胎が告知されて、何もかも心得ることができず、戸惑いながらも迷わず、神のみ言葉に忠実に従って行きました。それゆえ、聖母マリアは人類初の人間として、神の最大な恵み、宇宙万物創造された以来の最もこの上なく平和のしるしである、神の御子イエス・キリストを身にお受けになりました。
 今日の福音には、「マリアはこれらの出来事をすべて心に納め、思い巡らしていた」(19節)と書かれています。受胎告知の場面と同じマリアの姿勢が見られます。羊飼いたちが飼い葉桶にいる幼子イエスを探し求め、その誕生を天使から告げられたという、とても理解し得ない不思議な出来事に対して、聖母マリアはしっかりと心に受け止め、神の意志を探し見つけ、神の働きに従っていくことだけを、しっかりと考えていた姿勢を示したのです。また、エルサレムで迷子になった少年イエスは、両親に神殿で見つかると、「どうしてわたしを探したのですか。わたしが自分の父の家にいるのは当たり前だということを、知らなかったのですか」と言われました。この場面においても、やはり先ほどの福音箇所のようにマリアは「これらのことをすべて心に納めていた」(ルカ2:51)という謙虚な態度を示しました。
 エルサレムの神殿で幼子イエスが奉献された時、マリアについてシメオンのあの預言の言葉を思い出させます「また、反対を受けるしるしとして定められています。あなた自身も剣で心を刺し貫かれます。多くの人の心にある思いがあらわにされるためです。」(ルカ2:34〜35)このように、マリアは人類初の人間として神からの最も偉大な御業、恵みをお受けになり、その平和が彼女の身を通して、実現されたと同時に、彼女も多くの不思議な出来事に直面しなければならないのであり、御子イエス・キリストの十字架の元に立っている母親の苦しみと悲しみをも受けることになりました。主の平和が実現されるために愛と従順を成し遂げた聖母マリアの尊き姿なのです。
 神の母聖マリアの祝日に、「世界平和の日」を願うのはまさしく最もふさわしい時です。この世界の平和は御父よりの意志、ご計画として、聖母マリアの従順の姿を通して実現され、完成されたように、私たちも聖母の模範に習い、その平和にふさわしくあずかることができますように、神の働きに従って行きましょう。
神言修道会 グェン・タン・ヒ 助祭