Catholic Diocese of Nagoya

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2025年08月02日

福井教会信徒の前川彰司さんの無罪判決確定について

2025年8月1日
教区の皆さま
教区司教 松浦悟郎

福井教会信徒の前川彰司さんの無罪判決確定について

+主の平和

 すでに報道等でご存じと思いますが、去る2025年7月18日、名古屋高等裁判所金沢支部(増田啓祐裁判長)は、1986年3月に福井市内で起きた女子中学生殺害事件の犯人とされた前川彰司さん(60歳)の再審公判で、前川さんに無罪を言い渡しました。そして、8月1日、検察は上告を断念し、無罪判決が確定しました。逮捕から実に38年間、無実を叫び続けた前川さんの無罪確定を心から喜び合いたいと思います。

 前川さんは、事件の翌年逮捕され、福井地方裁判所の一審公判で一旦は無罪となったものの、検察側の控訴により、1995年2月、懲役7年の有罪判決を下され服役することになりました。
 しかし前川さんは、一貫して容疑を否認し、一度は棄却された再審が今年3月に始まり、18日の公判で、ようやく無罪を獲得することになりました。検察側の提出した捜査資料には、捜査機関による供述の捏造があり、意図的な許し難い冤罪であったことが明らかになりました。

 有罪判決を受けた2ヶ月後の1995年4月、前川さんはカトリックの洗礼を受けられています。それから30年もの間、神様の導きを信じ、希望を捨てず、苦しい日々を乗り越えて無罪を訴え続けられました。こうした前川さんの歩みに心から敬意を表し、改めて、無罪獲得を慶び、前川さんと、前川さんを支え続けたご家族、支援者に対して、心からのお祝いを申し上げます。

再審制度の問題点
 この機会に、冤罪を生みやすくしている再審制度について、皆さんにも関心をもってほしいと思います。最近では、同じく冤罪で死刑囚となっていた袴田巌さんの無罪判決が出ました。
そもそも、再審とは、誤判により有罪の確定判決を受けた冤罪被害者を救済するための「最終手段」であり、誤判、冤罪を訴える人の人権保障のためにのみ存在する制度ですが、それを阻む問題点が残されています。現行制度の運用改善や再審法改正の必要性を60年以上指摘してきた日本弁護士連合会は、以下の点を含む再審法の速やかな改正を要請しています。
1. 再審請求手続における全面的な証拠開示の制度化
2. 再審開始決定に対する検察官による不服申立ての禁止

前川さんは、これからも冤罪被害者の支援に向けて取り組むとのことです。私たちも、冤罪被害者を二度と出すことがないように、関心をもって祈り、取り組んでいきたいと思います。
以上